サルシカ・ツリーハウス・プロジェクト。
サルシカ秘密基地プロジェクト。
そして、このサルシカ店舗プロジェクト。
われわれサルシカの巨大プロジェクト工事には、必ずこの男がいる。
この男の存在が必要なのだ。
でこさん。
遠く800キロ離れた山形から、毎度のようにトラックに乗って駆けつけてくれる男。
男の中の男。
彼の本業はダクト屋である。
いつもサルシカのイベントでは大工仕事や土木作業をやっているので、その本業の姿を見たことがないが、本人がダクト屋だというのだからそうなのであろう。
で、サルシカ店舗の厨房のレンジフードやダクトを取り付けるという話になったとき、当然のように山形に連絡をしたのである。
でこさんに仕事を発注するが、三重までくる気があるか、と。
すると、5分もしないうちに返事がきた。
「いく! いつだ? 待ってろ」
と(笑)。
ファイナル工事前日にいつものようにトラックに乗って山形からやってきた男は、さっそく作業に入った。
まずは壁のステンレス貼り。
ツリーハウスで彼がはじめて三重県へやってきたのは、なんともう7年前。
7年を経て、ようやく目にする彼の働く姿。
真剣なまなざし。
言葉少なく、しかしときに冗談を飛ばしながら仕事をするその姿。
それは、ツリーハウスや秘密基地のときと同じだった。
彼は遊びも仕事も真剣だったのだ(笑)。
「オレのケツを撮るんじゃねぇぞ。あ、腹を狙ってるのか、このヤロウ」
7年の間に彼も貫禄と言う名の脂肪がずいぶんついた。
さすがに酒の量は減ったが、はじめて会ったとき、生ビール一気3杯飲みをしてようやく一息をつくこの男をみて、東北恐るべしと思ったものだ。
お昼ごはん!
最初のイベント工事のときと同じく、かまどやのアーリー有沢さんにお弁当を頼んだ。
肉体労働系の諸君におくるがっつりスタミナ弁当。
いやいや、がっつりし過ぎだから(笑)。
メシが盛り上がってフタができない。
これサービス?
ならばサービス過剰!
それぞれ空いている場所に腰を下ろしてメシをくう。
厨房のこんなところに座るなんて、営業したらできないもんね。
店舗のデザインと照明担当である舞台ゲージュツ家の鳴海さんは、骨組みだけのカウンターに勝手にテーブルをつくって食べている。
ゲージツ家は昼めしもアートなのだ。
女将の寿実ちゃんは、食べきれないごはんをみんなに押しつけられつつもそれをすべて完食。
1升ぐらいのメシを喰っていたのではないだろうか。
さすが女将!
君にこの店をまかせておけば安泰だ。
しかしつまみ食いはほどほどにしろよ。
午後。
また壁の漆喰塗りがはじまる。
みんなだんだん慣れてきてスピードアップ。
最初は今日中に終わらないのではないかと思ったが、どうやらおやつの時間までには終わりそうだ。
左官屋の小山さんは、シロウトが手を出せないような場所を攻める。
スプーンのような小さなコテで、ドアと壁の5センチほどの隙間を塗っていく。
さすがプロ!
一切の妥協はない!
坂倉さんは、ペンキを塗る厨房の壁のパテ埋め。
ネジ打ちした穴をひとつずつパテで埋めていく。
乾いたらヤスリをかけて平たくし、ここにペンキを塗っていく。
お店はイメージは大事。
だからしっかりと丁寧につくっていく。
漆喰塗りが一段落したら、舞台ゲージツ家の鳴海さんは照明器具の設定に。
LEDの電球、そしていろんな器具を組み合わせ、安くて格好いいものをつくっていってくれる。
その代わり手間がかかる。
照明はカウンターだけで9個。
そして手洗いや入口など、さまざまなところにも光の演出がなされる。
小さな光で店全体を浮かび上がらせる作戦らしい。
完成後のイメージがまったくわからないが、なんか凄そうな気配だけはしてくる(笑)。
この日。
朝の顔合わせをしたあと、姿を消していた池山大工が夕方近くになって戻ってくる。
決して彼はどこかで鼻笛を吹いていたり、昼寝をしてサボっていたわけではない。
彼の名誉のために言っておくが、彼はひとり、自分の工場でカウンターをつくっていたのだ。
加工された木材を組み合わせ、カウンターをつくっていく。
感動的な瞬間!
店に魂が入る瞬間である。
ちなみにこの木材は、津市美杉町の三浦林商さんに無償で提供してもらったものだ。
あの映画「ウッジョブ」で活躍した三浦さんが切り出してきた木をこうしてカウンターにさせてもらったのだ。
感謝!!!
店に魂が入り、
がっつりと手を合わせる、池山大工と舞台ゲージツ家の鳴海さんと新女将の寿実ちゃん。
たくさんの人に協力してもらっているこの店のプロジェクトであるが、この3人がいなくては進まない計画であった。
3人の熱意と努力の結晶がこのお店「おばんざいバルすみす」なのだ!!!
サルシカ店舗プロジェクト、ファイナル工事イベント初日。
予定通り工事は終わった。
入ったばかりのカウンターを囲んで、みんなでビールでカンパイ!!
すみす初のカンパイだ!
こんなにたくさんの人に支えられ、船出を迎えようとしているお店はそうそうないであろう。
どんなに感謝をしてもしきれない。
さて。
このあとはイベント恒例の打ち上げ。
サルシカ初の町での大宴会だ。
どうなることやら。
次回につづく。